研究紹介
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アドバイザリーボード
メンバー紹介

東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室 
教授 井上 将行

東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室 教授 井上 将行

乙卯研では、若手研究員が自ら構想した研究課題を自分の力で実現します。また、研究スタイルが異なるアドバイザリーボードの先生方が、研究成果へむけた舵の取り方を、色々な視点からアドバイスし、研究者としての成長を見守っています。
研究の新しい種を発見し、自分にあったスタイルを学ぶことができる希少で貴重な場です。

研究員の方々には乙卯研の経験から、さらに新しく大きな問いを設定し、驚きと高揚感があるオリジナルな研究を展開してもらいたいと願っています。

京都大学大学院薬学研究科 システムケモセラピー制御分子学分野 
教授 掛谷 秀昭

京都大学大学院薬学研究科 システムケモセラピー制御分子学分野 教授 掛谷 秀昭

私は二期目のアドバイザリーボードメンバーです。現職の前に在籍していた理化学研究所は、かつて、鈴木梅太郎博士らによるビタミンAの大量生産法に関する特許収入などを基盤として、研究者の自由な発想で長期的なテーマを自由に実施できる環境から、「科学者の自由な楽園」と称され、多くの科学者の憧れの楽園でした。現在も、アメーバのように縦横無尽に変化しつつ、化学、物理、生物学、医学など様々な研究分野で世界を先導しています。

乙卯研究所は、まさに、「有機化学系若手研究者の自由な楽園」となるべく、若手研究員が研究に専念・没頭できる研究環境の構築を第一に組織運営されています。

研究テーマの設定は自由ですが、自由には、大きな責任が伴います。自身が設定した研究テーマの意義・波及効果などを考えつつ、日々の実験を精力的に行い、研究報告会に緊張感を持って臨んでいる若手研究員の発表には、毎回、心を打たれます。研究報告会後の懇談会での彼らの満面の笑みは、責任感を持って研究を遂行している証であると強く感じています。

若手研究員らが高いレベルで切磋琢磨しながら、より大きな目標に向かって成長していく過程に、引き続き、貢献できるよう務めて参ります。

京都大学大学院薬学研究科 薬品合成化学分野 
教授 高須 清誠

京都大学大学院薬学研究科 薬品合成化学分野 教授 高須 清誠


乙卯研究所は、情熱を持って独自のサイエンスを切り拓こうとする若手有機化学者が集う研究機関です。ここでは、自由な発想から自身でアイデアを生み出し、手と頭をフル稼働させて実験を重ね、自らの研究成果を着実に仕上げる醍醐味を味わうことができます。乙卯研究所では高度な研究設備や資金面のサポートを潤沢に受けることができるため、研究の可能性は無限に広がります。さらに、多様な専門領域をもつ5名のアドバイザリーボードと定期的にディスカッションを行い、研究の進捗や方向性について深い助言を得られる環境も整っています。何より、研究所には様々な方向性や実験技術を持つ情熱あふれる若手研究者が集っており、時にはライバル、時には仲間として共に切磋琢磨し、成長し合えるのも大きな魅力です。

私は、乙卯研究所のアドバイザリーボードに加わってから3年経ちましたが(2024年現在)、ここほどエキサイティングな研究環境はないと思います。私自身、若き日の自分がこの研究所の一員だったなら、どれほど多くのことを学び、成長できただろうと感じています。

ここであなたのサイエンスを研ぎ磨いて、世界を変えうる化学の一端を担うべくさらなる飛躍を目指してみませんか。

慶應義塾大学理工学部生命情報学科 ケミカルバイオロジー研究室 
教授 荒井 緑

慶應義塾大学理工学部生命情報学科 ケミカルバイオロジー研究室 教授 荒井 緑

乙卯研究所は若い研究者が実力を伸ばすのに最適な環境が揃っています。研究資金も潤沢であり、自分で立案した研究課題を思う存分、試して進めていくことができます。夢をもった若い方と一緒に研究できるのを幸いに思います。私は有機合成と天然物単離、そして分子細胞生物学を用いた天然物ケミカルバイオロジー研究を行っています。私は不斉触媒開発で博士学位を取得しましたが、その後、生物領域にも興味を持ち、様々な研究室で教えていただきながら異なる領域の実験手法も習得していきました。このように私は様々な研究室に所属して経験があり、多角的な視点を得ることができました。若い研究者の皆さんには、多角的な視点からの新しい研究の推進も期待しています。

私は今年度(2024年度)からアドバイザリーボードメンバーに就任いたしました。このような自由に化学の夢を試せる環境に身を置く若い研究者の方々を羨ましく思います。世界的に見ても、貴重で希少な素晴らしい環境です。若手研究者が多様な視点からイノベーションを推進することを期待しています。私自身、まだまだ未熟者ですが、少しでも若い方のお役に立てるように頑張ります。

 

東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 
教授 寺尾 潤

東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 教授 寺尾 潤

学位取得後、アカデミアになっても企業就職しても、しばらくの間は自分のやりたい研究が自由に出来る環境が与えられることはありません。PIや上司が提案提供する研究計画・予算・環境の中で与えられたプロジェクトを協力して行うため、限られた範囲内での研究を行うことになります。この期間が長くなると、いつの間にか継続的な成果を追い求めるようになり、気が付いたら0から1を生み出すチャレンジ精神が失われてしまいます。

この乙卯研究所では、自由な研究環境の下、学位取得直後で有機合成実験技術が最高の時に、新しいことにどんどんチャレンジして、自分が思い描く有機化学の夢を実現して下さい。そして、今後の研究人生において核となるオリジナルな研究成果を挙げ、次のステージで大きく羽ばたいて下さい。

情熱溢れる若手有機合成化学者の皆様との活発なディスカッションを心より楽しみにしています。

研究員紹介

柴田 真太郎

柴田 真太郎

本研究所は、若手研究者を育成するために研究所全体で支援していただける研究施設です。
研究員は単なる博士号を取得した際の研究の継続ではなく、独自の発想と方針で研究テーマを各々が定め、意欲的に取り組むことができます。“やらされている研究”から“自らの意思・テーマでやる研究”をしたい人には最適の環境です。
一方で、自身の研究テーマに対する化学的な意義やその研究に対する課題などは、ひとりで研究をしていると思考が偏り、煮詰まってしまうことが多いと思います。しかし、その点で本研究所はアドバイザリーボードの先生方ならびに研究顧問の先生や、隣で自分とは全く違う研究を展開している熱意ある研究員と気兼ねなくディスカッションができ、柔軟な思考で研究の発想を練れることも大きな魅力です。

中村 皓毅

中村 皓毅

乙卯研究所は、研究者自らが立案した研究テーマに挑戦することができる恵まれた環境です。また、研究顧問およびアドバイザリーボードの先生方とのディスカッションを経て、研究をさらに深めることが可能です。
研究所で意欲的に活動を行うことで、研究者として大きく成長できると思います。

松浦 良史

松浦 良史

乙卯研究所は、研究者が独自に考えたテーマを独立して遂行・発展させることができる場所です。他分野を研究している研究者と議論して視野を広げることも、アドバイザーの先生方と議論してテーマに深みを出すこともできます。設備に関しても、有機合成実験に必要な実験器具や精製装置、解析装置が一通りそろっており、大学の研究室と遜色ない環境で自由に研究できる環境が整えられています。
博士研究とは異なり、一から研究テーマを考案し、議論と実験を重ねて発展させていく一連の経験の中で、本当の意味で自立した研究者へ成長するための貴重な時間を過ごすことができます。

増井 悠

増井 悠

乙卯研究所は、国内有数の自由な発想とスタイルで研究できる研究所です。十分な設備が備わっている上、多くの要望に応えてくださるので、積極的に活動すればその分だけプラスになると思います。
また、研究室内は明るい雰囲気で、親切な方ばかりです。研究だけに集中して打ち込める優れた環境だと思います。

高橋 一光

高橋 一光

乙卯研究所では、研究員が自分の裁量でどんな研究テーマを実施するかを選ぶことができます。自身のバックグラウンドに連なる研究であっても、これまでの自分の研究から完全に独立したものでも、まさしく自由に選ぶことができます。その証拠に、乙卯研究所の論文リストには単著で出された論文がいくつもあります。しかし、乙卯研究所の最たる点はこの自由さそのものではなく、研究員が決断した研究テーマを本気で支援してくれる点にあります。すなわち、研究員が不自由なく研究活動に打ち込めるように、研究設備から始まり、試薬や実験器具、学会発表に関わる事などを幅広くサポートしてくれます。



寄稿文

中部大学
 分子性触媒研究センター長 教授 山本 尚

研究報告会

研究報告会

乙卯研究所では、原則、3ヵ月に1回、各研究員が自分の研究進捗をプレゼンする研究報告会を開催しています。アドバイザリーボード委員全員の先生方が参加されますので、活発なディスカションが行われるとともに新たな課題も設定されます。各研究員は次回までにその課題の解決に向けてさらに研究を進めることで大きなステップアップを着実なものにします。

当研究所出身者の転出先

岐阜薬科大学(助教)、十全化学、三菱ケミカル株式会社、大阪大学(特任助教)、高崎健康福祉大(助教)、東北大学(助教)、岐阜大学(助教)、東北大学(講師)、広島大学(助教)、明治薬科大学(助教)、京都大学(特定助教)、Pennsylvania大学(研究員)、東京理科大学(助教)、株式会社PRISM BioLab、Red Arrow Therapeutics株式会社、北海道大学(特任助教)、Nebraska大学Lincoln校(助教)など

研究紹介

2026年

2026年1月7日
柴田真太郎研究員の論文「Sustainable purification-free synthesis of N–H ketimines by solid acid catalysis」がNature CommunicationsのEditors’ Highlights (Organic chemistry and chemical biology 分野)に選出されました。
Editors’ Highlightsでは特定の分野で最近発表された論文の中で最も優れた論文50件を紹介しています。
本研究で合成可能な生成物とその要点。
図 本研究で合成可能な生成物とその要点。
有用な鍵中間体である N–H ケチミン を、固体酸触媒(cat. Solid acid) を用いて合成できることを示しています。
さらに、得られた N–H ケチミンから、さまざまな有用化合物へと変換可能であり、無溶媒(neat)条件での反応も利用できます。

2025年

2025年12月25日
高橋 一光研究員 JSPC優秀賞受賞
2025年12月5日に開催された「日本プロセス化学会2025ウインターシンポジウム」にて高橋 一光研究員のJSPC優秀賞(日本プロセス化学会2025サマーシンポジウム)の受賞式が行われ、賞状を授与されました。

  • プレスリリース 「簡便・精製不要・スケールアップ可能なN–Hケチミン合成プロセスの確立」 柴田 真太郎研究員(PDF)2026年1月7日 更新
  • 概要
     公益財団法人乙卯研究所の柴田真太郎研究員と東京農業大学生命科学部の尾中篤教授の研究グループは、従来の手法では合成が難しく十分に利用されてこなかった「窒素上無保護ケチミン(N–Hケチミン)」の新しい合成法を開発しました。この手法は、N–Hケチミンを簡便・安価・低環境負荷で合成でき、さらに大量合成にも適している点が特長です。
     柴田研究員は、無機固体酸触媒(粉末状の酸性物質)とヘキサメチルジシラザン(HMDS)を組み合わせることで、従来困難であった多様なケトンから、カラム精製のような煩雑な操作を一切伴わず、濾過・濃縮のみで高純度N–Hケチミンを取得できることを実証しました。さらに、得られたN–Hケチミンを同一の容器内でそのまま反応させることで、窒素上保護ケチミン(N–Rケチミン)、α-アミノニトリル、ヒダントイン化合物など、医薬・材料分野で重要な誘導体へワンポットで効率的に変換できることも見出しました。
    本研究は、「使いたくても簡単に使えなかった」有用中間体であるN–Hケチミンの取り扱いを大幅に容易にし、多様な分野での応用を可能にする合成基盤となり得るものです。また、グリーンケミストリーに基づくサステナブルな合成プロセスの構築や、有機材料開発の進展、新規触媒設計、医薬品合成法の革新にも貢献することが期待されます。
    本研究成果は国際学術誌Nature Communicationsに掲載されています。
  • アルデヒド・ケトンから誘導される窒素上無保護イミンを鍵中間体とした固体酸触媒反応の開発(PDF)
  • 炭素―リン結合を有するC–P化合物の合成(PDF)
  • フッ化糖を用いた高反応性グリコシル化法の開発(PDF)
  • Synthesis of novel SF5-compounds and materials(PDF)
  • 逐次的な環化付加反応を用いたフェネストラン類の合成とその評価(PDF)
  • プレスリリース 「パラジウム触媒反応の基質拡大」 田中 耕作三世研究員(PDF)
  • 概要
     公益財団法人 乙卯研究所の田中 耕作三世研究員は、パラジウム触媒が反応できる基質の適用拡大に成功しました。
     パラジウム触媒はその有用性により、創薬の現場などで利用される信頼性の高い触媒です。しかし、反応する際は、反応性の高い脱離基を起点とすることが基本であり、それが得られる生成物の幅を狭めていました。
     田中研究員はパラジウムに対して光照射することで生じる「光励起パラジウム種」が有する反応性の高さに着目し、従来パラジウム触媒が反応しないとされてきたケトンと反応し、反応活性種である「ケチルラジカル」の生成に成功しました。生じたケチルラジカルはオレフィンとの反応を経由し、パラジウム触媒特有の反応に展開が可能です。このパラジウム触媒特有の反応は、途中で生じるラジカルの級数によって、還元的カップリング生成物もしくはHeckタイプのカップリング生成物へと変化する結果が得られています。
     また詳細な反応機構解析により、従来のケチルラジカル発生法とは異なる性質を有することも明らかにしました。
    本研究成果は2024年3月25日公開のACS catalysis誌にオンライン掲載されました。

設備

  • 計算化学ワークステーション (Spartan'24 Parallel Suite Gt16 1Y、Gaussian 16W 64-bit、Gauss View)
    計算化学ワークステーション (Spartan'24 Parallel Suite Gt16 1Y、Gaussian 16W 64-bit、Gauss View)
  • ケミストプラザ(CP-1000、柴田科学)
    ケミストプラザ(CP-1000、柴田科学)
  • ミクロ天秤(sartorius)
    ミクロ天秤(sartorius)
  • 極低温反応機(UCR-150N-S、テクノシグマ)
    極低温反応機(UCR-150N-S、テクノシグマ)
  • グローブボックス(DRU600TC)
    グローブボックス(TG-800)
  • 分取装置(EPCLC W-Prep 2XY, Yamazen)4台
    分取装置(EPCLC W-Prep 2XY, Yamazen)4台
  • クーゲルロール(SIBATA)
    クーゲルロール(SIBATA)
  • 脱水溶媒装置(UltimateSloventSystem3S, NIKKO HANSEN)
    脱水溶媒装置(UltimateSloventSystem3S, NIKKO HANSEN)
  • NMR装置(JEOL, 400MH)
    NMR装置(JEOL, 400MH)
  • LC-MS(ExactivePlus,Thermo Fisher)
    LC-MS(ExactivePlus,Thermo Fisher)
  • 赤外分光光度計および旋光計(FT/IR-4600 and P-2200, JASCO)
    赤外分光光度計および旋光計(FT/IR-4600 and P-2200, JASCO)
  • LC-UV(JASCO)
    LC-UV(JASCO)
  • 凍結乾燥機(FDU-2200, EYELA)
    凍結乾燥機(FDU-2200, EYELA)
  • Multiple Preparative HPLC(LC-Forte/R, YMC)
    Multiple Preparative HPLC(LC-Forte/R, YMC)
  • 全自動洗浄機(朝日ライフサイエンス)
    全自動洗浄機(朝日ライフサイエンス)

研究費獲得状況

2025年6月現在、以下、3件の研究費を獲得しています。

  • 増井 悠 研究員
  • 研究種目:2025年度 基盤研究(C)
    研究課題:「連続分子内環化付加を駆使するフェネストランの一挙構築法の汎化と構造物性相関の解明」
    研究課題:「連続分子内環化付加を駆使するフェネストランの一挙構築法の汎化と構造物性相関の解明」

  • 高橋 一光 研究員
  • 研究種目:2024年度 若手研究
    研究課題:「鉄触媒と有機ナトリウム化合物で切り拓くサステイナブル精密有機合成」     
    研究課題:「鉄触媒と有機ナトリウム化合物で切り拓くサステイナブル精密有機合成」

  • 柴田 真太郎 研究員
  • 研究種目:2024年度 若手研究
    研究課題:「不均一固体酸触媒を用いたケトンからの不安定N-Hケチミンの汎用的合成法の開発
          と応用」
    研究課題:「不均一固体酸触媒を用いたケトンからの不安定N-Hケチミンの汎用的合成法の開発と応用」

全合成化合物構造式集(PDF)

乙卯研究所 全合成有機化合物 構造式集
Structure Formula List of the Natural Products Totally Synthesized in ITSUU Laboratory (1968 - 2004)

乙卯研究所は大正 4 年 (1915 年) 6 月 10 日 芝区 葦手町に設立されて以来、大正 6 年 (1917 年) には赤坂区 青山南町、昭和 9 年 (1934 年) には渋谷区 金王町へ移転しました。この間昭和 13 年 (1938 年) には財団法人としての認可を受けました。さらに現在の世田谷区 玉川に移転した昭和 41 年 (1966 年) は、創立 51 年目にあたります。この時期は有機化学の分野においても新しい潮流が見られた時代です。天然物化学の分野において、それまでは天然有機化合物の構造決定が研究の中心でしたが、これに加え、これらを全合成しようとする試みが世界中で本格化した時代にあたります。

乙卯研究所には「芳香族異項環塩基の薬学的研究」という大きな研究の流れ (テーマ) があります。これはピリジン、イソキノリン、インドール等の含窒素芳香族化合物を素材として、新規な反応を開拓し、これを天然物や生理活性物質の合成などに応用利用しようとするものです。事実、乙卯研究所では、まず i) 独自の反応を見出し、ii) これを活用して天然物を全合成し、その有用性を実証する、という研究スタイルを貫いてきました。

この構造式集では、1968 年から 2004 年までの間に、乙卯研究所で全合成された天然有機化合物の構造式を過去にさかのぼる形で一覧表示しました。
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