研究所概要
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研究所理念

 現在あらゆる基礎研究においては、幅広い分野の研究者が協力し合うことによって、より複雑な問題を解決することがすでに主流になっています。しかし、このような問題解決の方法では個々の専門性の高まりは期待できますが、研究の全体像を俯瞰して考察する能力はなかなか身に付きにくいと考えます。

 そこで当研究所において若手研究者の育成は“できる限り単独で研究を遂行する”という現在では極めてユニークなやり方を徹底しています。 具体的には以下の方法を基本としています。

  1. 自分自身で研究テーマを自由に決める
  2. 研究テーマ解決のための問いを自ら設定し、答えを得るための研究方法、具体的な実験方法を単独で計画する
  3. 計画に基づく準備・実験・結果・解析・考察という一連の作業を単独で責任をもって実施する
  4. 作業の繰り返しから自らの問いに対する答えを見つけ、その解決の科学的道筋を単独で論文にまとめてしかるべきジャーナルに投稿する

 この際、研究を進める過程の中で、予期せぬ結果が得られた場合や行きづまった場合には、問いに戻り、この一連の作業を再計画する柔軟性を持つことも重要です。それでも難しい選択や予期せぬ困難は必ず生まれます。そんな時のために、当研究所ではあらゆる問題解決に助言をしてくださる有機化学全般にわたるアドバイザーを、現役の著名な大学教授の先生方に委嘱しています。

 このようにして一連の過程が個人の問題解決力を高め、著しい研究推進力、対応力を自然と身に付けさせると確信して、当研究所は個々の若手研究者を全力でサポートしてまいります。

 若い時に、たとえ小さなテーマであっても全ての研究過程を経験し、自力で研究をまとめる能力を身に付け、さらなる新しくて広い科学の分野に羽ばたいてもらいたいと当研究所は若い研究者に期待しています。

研究所長挨拶

乙卯研究所 所長 武内 好行

SDGs(持続可能な開発目標)に代表される「持続可能な社会」を目指すために、現代社会が直面している資源枯渇・人口爆発・気候変動・環境問題等の諸課題の克服がグローバル規模で求められています。これら課題を克服するためには革新的な科学技術の開発が求められ、有機化学はその基礎となる最も重要な研究領域の一つであることに疑いの余地はありません。乙卯研究所は創設以来、有機化学を基盤とした創薬研究に取り組んでまいりましたが、現在では基礎有機化学を中心とした研究を通して、若手研究者を育成することにより薬学の進歩発達に資することを目的とした公益財団法人として活動しています。

「持続可能な社会」の実現に有機化学が担う役割は重要であり、明日の有機化学を支える若手研究者の育成は社会的に意義のある活動と確信しています。一人でも多くの優秀な若手研究者に、大切な時間を浪費することなく、一日も早く一流の有機化学者・研究者となってグローバル社会に貢献してもらいたい。そのために自ら研究テーマを設定し、実験による仮説検証に基づいて成果を公表し、自身の仕事に対する外部からの評価を受けることが研究者としての成長には必須です。それを実践できる良質な環境を提供していくことが、乙卯研究所の使命であり、存在価値であると考えています。

乙卯研究所 所長 武内 好行

アドバイザリーボード紹介

東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室 
教授 井上 将行 (研究顧問兼務)

東京大学大学院薬学系研究科天然物合成化学教室 教授 井上 将行

乙卯研では、若手研究員が自ら構想した研究課題を自分の力で実現します。また、研究スタイルが異なるアドバイザリーボードの先生方が、研究成果へむけた舵の取り方を、色々な視点からアドバイスし、研究者としての成長を見守っています。
研究の新しい種を発見し、自分にあったスタイルを学ぶことができる希少で貴重な場です。

研究員の方々には乙卯研の経験から、さらに新しく大きな問いを設定し、驚きと高揚感があるオリジナルな研究を展開してもらいたいと願っています。

 

京都大学大学院薬学研究科 システムケモセラピー制御分子学分野 
教授 掛谷 秀昭

京都大学大学院薬学研究科 システムケモセラピー制御分子学分野 教授 掛谷 秀昭

私は二期目のアドバイザリーボードメンバーです。現職の前に在籍していた理化学研究所は、かつて、鈴木梅太郎博士らによるビタミンAの大量生産法に関する特許収入などを基盤として、研究者の自由な発想で長期的なテーマを自由に実施できる環境から、「科学者の自由な楽園」と称され、多くの科学者の憧れの楽園でした。現在も、アメーバのように縦横無尽に変化しつつ、化学、物理、生物学、医学など様々な研究分野で世界を先導しています。

乙卯研究所は、まさに、「有機化学系若手研究者の自由な楽園」となるべく、若手研究員が研究に専念・没頭できる研究環境の構築を第一に組織運営されています。

研究テーマの設定は自由ですが、自由には、大きな責任が伴います。自身が設定した研究テーマの意義・波及効果などを考えつつ、日々の実験を精力的に行い、研究報告会に緊張感を持って臨んでいる若手研究員の発表には、毎回、心を打たれます。研究報告会後の懇談会での彼らの満面の笑みは、責任感を持って研究を遂行している証であると強く感じています。

若手研究員らが高いレベルで切磋琢磨しながら、より大きな目標に向かって成長していく過程に、引き続き、貢献できるよう務めて参ります。

京都大学大学院薬学研究科 薬品合成化学分野 
教授 高須 清誠

京都大学大学院薬学研究科 薬品合成化学分野 教授 高須 清誠


乙卯研究所は、情熱を持って独自のサイエンスを切り拓こうとする若手有機化学者が集う研究機関です。ここでは、自由な発想から自身でアイデアを生み出し、手と頭をフル稼働させて実験を重ね、自らの研究成果を着実に仕上げる醍醐味を味わうことができます。乙卯研究所では高度な研究設備や資金面のサポートを潤沢に受けることができるため、研究の可能性は無限に広がります。さらに、多様な専門領域をもつ5名のアドバイザリーボードと定期的にディスカッションを行い、研究の進捗や方向性について深い助言を得られる環境も整っています。何より、研究所には様々な方向性や実験技術を持つ情熱あふれる若手研究者が集っており、時にはライバル、時には仲間として共に切磋琢磨し、成長し合えるのも大きな魅力です。

私は、乙卯研究所のアドバイザリーボードに加わってから3年経ちましたが(2024年現在)、ここほどエキサイティングな研究環境はないと思います。私自身、若き日の自分がこの研究所の一員だったなら、どれほど多くのことを学び、成長できただろうと感じています。

ここであなたのサイエンスを研ぎ磨いて、世界を変えうる化学の一端を担うべくさらなる飛躍を目指してみませんか。

慶應義塾大学理工学部生命情報学科 ケミカルバイオロジー研究室 
教授 荒井 緑

慶應義塾大学理工学部生命情報学科 ケミカルバイオロジー研究室 教授 荒井 緑

乙卯研究所は若い研究者が実力を伸ばすのに最適な環境が揃っています。研究資金も潤沢であり、自分で立案した研究課題を思う存分、試して進めていくことができます。夢をもった若い方と一緒に研究できるのを幸いに思います。私は有機合成と天然物単離、そして分子細胞生物学を用いた天然物ケミカルバイオロジー研究を行っています。私は不斉触媒開発で博士学位を取得しましたが、その後、生物領域にも興味を持ち、様々な研究室で教えていただきながら異なる領域の実験手法も習得していきました。このように私は様々な研究室に所属して経験があり、多角的な視点を得ることができました。若い研究者の皆さんには、多角的な視点からの新しい研究の推進も期待しています。

私は今年度(2024年度)からアドバイザリーボードメンバーに就任いたしました。このような自由に化学の夢を試せる環境に身を置く若い研究者の方々を羨ましく思います。世界的に見ても、貴重で希少な素晴らしい環境です。若手研究者が多様な視点からイノベーションを推進することを期待しています。私自身、まだまだ未熟者ですが、少しでも若い方のお役に立てるように頑張ります。

 

東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 
教授 寺尾 潤

東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻 教授 寺尾 潤

学位取得後、アカデミアになっても企業就職しても、しばらくの間は自分のやりたい研究が自由に出来る環境が与えられることはありません。PIや上司が提案提供する研究計画・予算・環境の中で与えられたプロジェクトを協力して行うため、限られた範囲内での研究を行うことになります。この期間が長くなると、いつの間にか継続的な成果を追い求めるようになり、気が付いたら0から1を生み出すチャレンジ精神が失われてしまいます。

この乙卯研究所では、自由な研究環境の下、学位取得直後で有機合成実験技術が最高の時に、新しいことにどんどんチャレンジして、自分が思い描く有機化学の夢を実現して下さい。そして、今後の研究人生において核となるオリジナルな研究成果を挙げ、次のステージで大きく羽ばたいて下さい。

情熱溢れる若手有機合成化学者の皆様との活発なディスカッションを心より楽しみにしています。

研究員紹介

中村 皓毅

中村 皓毅

乙卯研究所は、研究者自らが立案した研究テーマに挑戦することができる恵まれた環境です。また、研究顧問およびアドバイザリーボードの先生方とのディスカッションを経て、研究をさらに深めることが可能です。
研究所で意欲的に活動を行うことで、研究者として大きく成長できると思います。

松浦 良史

松浦 良史

乙卯研究所は、研究者が独自に考えたテーマを独立して遂行・発展させることができる場所です。他分野を研究している研究者と議論して視野を広げることも、アドバイザーの先生方と議論してテーマに深みを出すこともできます。設備に関しても、有機合成実験に必要な実験器具や精製装置、解析装置が一通りそろっており、大学の研究室と遜色ない環境で自由に研究できる環境が整えられています。
博士研究とは異なり、一から研究テーマを考案し、議論と実験を重ねて発展させていく一連の経験の中で、本当の意味で自立した研究者へ成長するための貴重な時間を過ごすことができます。

増井 悠

増井 悠

乙卯研究所は、国内有数の自由な発想とスタイルで研究できる研究所です。十分な設備が備わっている上、多くの要望に応えてくださるので、積極的に活動すればその分だけプラスになると思います。
また、研究室内は明るい雰囲気で、親切な方ばかりです。研究だけに集中して打ち込める優れた環境だと思います。

呉 東冉

呉 東冉

乙卯研究所は、研究者が自ら考えた研究テーマに自由に挑戦し、それを主体的に発展させることができる貴重な研究環境です。決められた課題に取り組むだけでなく、自分自身の発想を出発点として研究を進められるため、日々の実験の中で新しい可能性を探りながら、研究を大きく展開していくことができます。また、充実した設備のもとで研究に集中できるだけでなく、研究顧問やアドバイザリーボードの先生方と密に議論する機会があり、研究の方向性や意義について深く考えることができます。
特に、自分の研究に対して第一線で活躍されている先生方から多角的な助言をいただけることは、若手研究者にとって非常に貴重な経験です。実験結果の解釈だけでなく、その研究がどのような独自性を持ち、今後どのように発展し得るのかを考える上で、大きな刺激になっています。自分の発想を大切にしながら、実験と議論を重ねて研究を形にしていく過程は、研究者として大きく成長するためのかけがえのない経験になると感じています。乙卯研究所は、自由な研究環境と高いレベルの助言を通じて、若手研究者が独自のサイエンスを磨き上げることのできる場所です。

研究テーマ



寄稿文

中部大学
 分子性触媒研究センター長 教授 山本 尚

研究報告会

研究報告会

乙卯研究所では、原則、3ヵ月に1回、各研究員が自分の研究進捗をプレゼンする研究報告会を開催しています。アドバイザリーボード委員全員の先生方が参加されますので、活発なディスカションが行われるとともに新たな課題も設定されます。各研究員は次回までにその課題の解決に向けてさらに研究を進めることで大きなステップアップを着実なものにします。

当研究所出身者の転出先

岐阜薬科大学(助教)、十全化学、三菱ケミカル株式会社、大阪大学(特任助教)、高崎健康福祉大(助教)、東北大学(助教)、岐阜大学(助教)、東北大学(講師)、広島大学(助教)、明治薬科大学(助教)、京都大学(特定助教)、Pennsylvania大学(研究員)、東京理科大学(助教)、株式会社PRISM BioLab、Red Arrow Therapeutics株式会社、北海道大学(特任助教)、Nebraska大学Lincoln校(助教)、神奈川大学(特別助教)、東京科学大学(特任助教)など

設備

  • 計算化学ワークステーション (Spartan'24 Parallel Suite Gt16 1Y、Gaussian 16W 64-bit、Gauss View)
    計算化学ワークステーション (Spartan'24 Parallel Suite Gt16 1Y、Gaussian 16W 64-bit、Gauss View)
  • ケミストプラザ(CP-1000、柴田科学)
    ケミストプラザ(CP-1000、柴田科学)
  • ミクロ天秤(sartorius)
    ミクロ天秤(sartorius)
  • 極低温反応機(UCR-150N-S、テクノシグマ)
    極低温反応機(UCR-150N-S、テクノシグマ)
  • グローブボックス(DRU600TC)
    グローブボックス(TG-800)
  • 分取装置(EPCLC W-Prep 2XY, Yamazen)4台
    分取装置(EPCLC W-Prep 2XY, Yamazen)4台
  • クーゲルロール(SIBATA)
    クーゲルロール(SIBATA)
  • 脱水溶媒装置(UltimateSloventSystem3S, NIKKO HANSEN)
    脱水溶媒装置(UltimateSloventSystem3S, NIKKO HANSEN)
  • NMR装置(JEOL, 400MH)
    NMR装置(JEOL, 400MH)
  • LC-MS(ExactivePlus,Thermo Fisher)
    LC-MS(ExactivePlus,Thermo Fisher)
  • 赤外分光光度計および旋光計(FT/IR-4600 and P-2200, JASCO)
    赤外分光光度計および旋光計(FT/IR-4600 and P-2200, JASCO)
  • LC-UV(JASCO)
    LC-UV(JASCO)
  • 凍結乾燥機(FDU-2200, EYELA)
    凍結乾燥機(FDU-2200, EYELA)
  • Multiple Preparative HPLC(LC-Forte/R, YMC)
    Multiple Preparative HPLC(LC-Forte/R, YMC)
  • 全自動洗浄機(朝日ライフサイエンス)
    全自動洗浄機(朝日ライフサイエンス)
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