研究紹介
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以下の文章は平成 17 年6月10 日に全国町村会館にて行われた乙卯研究所創立九十周年記念の会にてお配りした記念冊子からの抜粋です。また、昭和 42 年に発行・発刊された「乙卯研究所小史」を、本会開催にあわせて原文 (B5版、縦書き、全70ページ) を A4 版、横書きに再編集いたしました。

創立90週年記念冊子

創立 90 周年にあたって


財団法人 乙卯研究所
理事長
夏目 充隆

乙卯研究所は東京市芝区に、塩野義三郎氏の基金のもと、大正 4 年 6 月 10 日に設立され、本年平成 17 年は満 90 歳の誕生日を迎えます。設立の経緯は「乙卯研究所小史」に記されています。当時はまだ満足な規格の医薬品製造が著しく未熟な時代でした。そのような時代にあって、近藤教授の医薬製造にかける熱意は「藤園回想」に生き生きと語られています。設立後は、関東大震災、第二次大戦を経験し、戦後の物資が極端に不足する時代にも、着実に研究が続けられてまいりました。この間、昭和 13 年には文部省所管の財団法人となり、現在では薬学唯一の、研究を主体とする財団法人であります。昭和 38 年に近藤先生はなくなられましたが、新しい時代の薬学研究をめざして、昭和 41 年に当時渋谷にあった研究所を二子玉川に移転しました。

昭和 42 年当時は、有機合成化学の隆盛がはじまる前でしたが、天然有機化合物の合成研究を精力的に開始しました。合成にあたっては、独自の方法を開発し、それを応用するという、一般性を目指した有機化学研究でありました。テレオシジンの全合成、トリカブトアルカロイドの全合成などは、技術的にも非常に高度な研究であると思考しております。多数の合成された天然物関連の化合物はこの小冊子の巻末にまとめました。これらの成果を生み出した合成技術は、有機化学の基盤となる数々の新しい反応を含んでおり、純粋学問としての有機化学の発展にも大きな寄与をもたらし、公益法人としての役割を十分に果たし得たものと確信しております。

近年、建物の改装を実施し、新築同様に整備いたしました。そして、新たな時代の要請に応えるべく、明確に医薬志向へと軸足を移した医薬化学研究をすすめております。本研究所は、これまで蓄積した技術と経験をいかして、真に医療に役立つ医薬を創生するための新時代の薬学研究所たらんと、決意を新たに致す所存であります。

各位には、今後とも変わらぬご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

乙卯研究所小史

内容

近藤平三郎博士との結び付き
芝区葦手町の乙卯研究所
青山南町の研究所
不燃性乙卯研究所(渋谷区金王町)
近藤博士のおしえを受けた人々
永遠 に生きるもの
一つのすぐれた頭脳
新乙卯研究所(世田谷玉川町)
参考資料
乙卯研究所・シオノギ年表
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